第1章 過去と出逢い
ノインに大丈夫!と言ったけど
本当は”あの夢”を見たあとは何か悪いことが起きると予感させる。
『今夜の仕事』について考えながら店を目指し歩いていく。
ドォンッ!!!!
鈍い音とぶつかった衝撃を感じながらフィンの体が2mほど飛ばされる。
とっさに受け身をとり体勢を立て直し綺麗に地面に足を着地した。
「・・・ほう。悪くない。」
唸るような低い声男性の声が自分に向けられた。
少年のような背格好と見慣れない兵服に身を包んだ美しい顔立ちの男性が立ち姿がフィンの瞳に映し出される。
三白眼の鋭い視線と目が合う。
ドクン_________
ドクンドクン______
フィンの波打つ鼓動が早く刻み始める。
男性の黒い瞳に吸い込まれるように視線を外せない。
フィンの時間の流れは遅くなっていく。
男性も鋭い眼光のままフィンから視線を外さない。
「ッいたたぁ~。
ごめんね、よそ見しちゃって。大丈夫?」
女性の声でフィンの時間の流れはいつもの慌ただしい世界へと戻ってゆく。
数秒、コンマ何秒の世界だったがフィンには永く見つめ合っていたような錯覚に陥らせる。
心音は激しいまま。
苦しい胸を押さえ込みながら笑いながら尻餅をついている女性を見つめた。
こちらの人物も見慣れない”自由の翼”がついた兵服を着ている。
地面に座っているメガネをかけた女性にフィンはゆっくりと手を差し伸べる。
「ありがとう!!」
と言いながら、待ってました!という勢いで女性はフィンの手をぐん!と強く引っ張る。
フィンは女性を軽々と引っ張り起こしあげた。
「・・・・ちっ。
ぼさっとしてるんじゃねぇ。クソメガネ」
と小柄な男性が不機嫌そうにぼそっとつぶやいた。
この男の人‥‥目つき悪いし口悪い‥‥?
さっきのはなんだったんだろう‥‥?
視界に地面に落ちている一枚の白いメモ用紙が目に入る。