第6章 別れと再会
フィンの曇り切った顔色をみながら
ハンジは口を開いた。
「フィンの話していることは、嘘じゃないと思う。」
ミケが
「なんでそんな簡単に話を信じれるんだ!」
と声を荒げた。
続けてモブリットも
「分隊長!人が良すぎます!!」という。
確かにその通りだ。
と思いまたフィンは俯いた。
「私が信用できた理由はちゃんとあるよ。
まず、一つは毒殺なんて回りくどい
手段を選んだこと。
殺すなら舞踏会の人ごみに紛れて
丸腰のエルヴィンの心臓に
ナイフを刺した方が簡単でより確実だ。
昨晩フィンは私たち、調査兵団から逃げ切るほどの
立体起動の腕の持ち主であることが証明された。
逃げれるなら刺殺の方が手っ取り早いだろう?
実際に私はフィンからの殺気を全く感じなかった。
リヴァイも同じことを言ってたし、ね。」
ミケが「そんな理由で」
と口をはさむ。
モブリットが「分隊長の推測を聞きましょう」
と話し出したミケをとめる。
ハンジが
続けるよ。
とまた話し始めた。
「そして、二人にはまだ教えてなかったけど、
リヴァイが昨日銃撃された。
幸いリヴァイにケガはなかったけど、
立体起動装置は弾が貫通して壊れてしまっていた。
リヴァイから聞いた話だと、
義賊が自分のことを助けた。
義賊は左肩にケガを負ってまで。とね」
フィンは何も言わず、左肩に静かに手を置いた。
ふむ。とハンジがうなずいた。
「当の本には今寝ちゃってるから、
起きた後に話をきけばいいんじゃないかな。
義賊の顔は見てないって言ってたけど」
と付け加えた。
「しかもエルヴィンは昨晩、作戦前に
私にこう言い残していた
『これはただの窃盗事件ではない』と。
手紙に書かれている人物。
絶大な権力者が裏にいることも嘘じゃないと私は思う。」
ハンジが口元に手を添えながら
「そして手紙に書かれている毒と
エルヴィンの症状は一致している。」