第6章 別れと再会
街ゆく人の賑わいが微かに聞こえる…
フィンの目が覚める。
全身がだるくて、関節の節々がきしむ様な痛みを感じる。
フィンは鉛が付いているような
重たい体を引きずるように起こした。
起きてから部屋を見渡す……
ノインの姿を探すが見当たらない…。
ささっとシャワーを浴びてから身支度をする。
首元にはノインの遺した跡が赤くなっている…
スカーフを巻いて隠した。
いつも置いてある場所にネックレスが見当たらない。
ノインが持っているのだろうと
家の中を捜しまわる。
「ノイン〜?どこ〜?」
返事はかえってこない。
なにか嫌な予感がする。
ふとテーブルに置いてある手紙に気づく。
見慣れたノインの字、フィンへと書かれている。
手紙を手に取り、読み始める。
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フィンへ
さっきは本当に悪いことをした。
謝って許されることじゃないと分かってる。
でも伝えさせてくれ、ほんとにすまなかった。
ある人物から命令された、
調査兵団団長を殺すように、と。
逆らう事ができず、フィン、
お前に酷いことをさせてた。
すまない。
まだ、エルヴィン・スミスを救えるかもしれない。
"イ・サフラン"と言う花から精製した毒だ。
「冷血な殺人花」"と本に書かれていた。
医者に伝えて欲しい。
もう効かないかもしれないが、解毒剤を置いておく。
俺はけじめをつけに行く。
フィン、絶対に俺を探すな。
最後に勝手なことをばかりしてすまない。
俺のことは忘れて幸せになれよ。
________ノインより
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手紙を読み終えると
昨日のエルヴィンの苦しんでいた表情が脳内によぎる。
顎髭の男性の怒りの理由に納得する。
手紙と小瓶を握りしめ、目指して一目散に街に駆け出した。