第6章 別れと再会
守るためにと言いつつ一番に傷つけたことを後悔する。
拒絶されると思っていた欲望と想いを
フィンは自分の気持ちを殺してまで
俺を受け入れようとした。
どこまでも優しいフィン。
そんなフィンの手を血に染めてしまった。
でも今からならまだ、
償うことができるかもしれない。
そう決意し、
フィンに置手紙を書き
解毒薬の小瓶を添えて机に置いた。
そして家の中をゆっくりと見渡して
過ごした時間は自分の人生で最幸の思い出に浸る。
少しの間、目を閉じてかみしめる様に深呼吸をする。
この家にもう戻れないだろう。
でもいいんだ、後悔はしない。
またフィンの笑顔になるなら。
バタンッ!!
と音を立ててドアを閉めて
朝日が昇る街に足をすすめた。
{ Noin.Side Fin }