第4章 それぞれの願い想い
フィンを送り出した。
フィンのいない寂しい家で帰りを一人待つ。
昼間のフィンが脳裏に鮮明によみがえる。
窓から見えたフィンのまぶしい笑顔。
見たことのない、赤面した表情。
男の前で女の顔をしていた。
いつも見ているからすぐにわかってしまった。
きっと、あの”人類最強の男”に想いを寄せたんだろう。
あの男の目つきも気に入らなかった。
フィンを見た時の目。
かすかに目元が緩くなっていた。
あの二人が帰った後、
凄まじい嫉妬に駆り立てられて
フィンが欲しくなった。
何とかごまかしたが
いつまでこの想いに蓋をできるかわからなくなる。
そして今夜の出来事で
すべてが変わってしまうだろう。
フィンに罪を犯させる。
フィンに犯させた罪は全部俺が代ろう。
そう仕向けたのは俺なのだから。