第4章 それぞれの願い想い
起き上がりながらこっちを振り返ろうとしたが、
振り返るのをやめて、顔に手を当てている。
あぁ…顔を見られていないか確認してるのか。
「……仮を作っちまったみたいだからな、
今日は見逃してやる。」
"彼女"にみえるように
立体機動装置の弾丸が貫通した跡を
リヴァイは指先でトントンと叩いて見せる。
背中の、傷を見てしまったことを言うべきか悩み、重い口を開いた。
「……背中の傷……悪いが見た…
傷の深さを確かめるためにな……。」
"彼女"の見られたくない過去だろうと思ったが、
見てしまった以上謝っておくのが筋だろう。
"彼女"は目を細め、
こくん。と縦に首を振った。
朝焼け前の静寂が二人を包み込む。
"彼女"は
「……手当ありがと。」
と低く声で呟いた。
突然振り返って
外に向かって走り出す。
止めようと駆け寄りながら
「おいッ!」と声をかける。
加速させて空に"彼女"は飛び出してしまう。
ゆっくりと落ちていく"彼女"を見ながら
「必ず俺はお前をみつけよう…」
と呟く。
リヴァイから視線を外し
宙を舞いながら
朝焼けで少しだけ明るくなり始めた街並みに姿を隠した。
ふと朝日が照らされた、輝くものを石畳から拾い上げた。
彼女のものだろうか、
金色に光るネックレス。
なにか模様が描かれている。
目を凝らしてみると、
羽根のような模様が交差していた。
見慣れない図柄だった。
そっと胸ポケットにしまい込んだ。
{Levi Side Fin}