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≪進撃の巨人≫ 蒼翼の天使 

第3章 堕天使の舞踏会


…ぽつ
……ぽつ ……ぽつ

うっすらと雨音が聞こえる。
誰かが、背中を触っている。
目を開けたいけど眠りはフィンを離さない。

また深い眠りに落ちそうになったとき、肩にビリッと痛みがが走った。

フィン「ッ!!」
と大きく体を揺らして起き上がろうとする。
温かい手がフィンの体を優しく押さえた。

「……まだ終わってねぇ」
冷たい口調のなかに、優しさがでるリヴァイの声がした。

涙を必死にこらえながらフィンは起き上がるのをやめる。


触れられている肩がドクンドクンっと波打って甘い痛みを刻む。

体中の血液が肩に集中していくのを感じなから終わるのを静かに待った。


「……終わったぞ。」
リヴァイの手が離れた。

ただ触れられただけで簡単に身体は想い出す。
空を見つめると雨は止んでいる。
考えることを放棄する。

フィンは起き上がりながら
リヴァイの方を振り返ろうとしたが、
振り返るのをやめて、顔に手を当てる。


よかった、まだ仮面外されてない‥‥。
と思った瞬間、
リヴァイがちッ舌打ちを挟みながら
「……仮を作っちまったみたいだからな、
今日は見逃してやる。」

リヴァイの方に視線を向けると、
立体機動装置の弾丸が貫通した跡を
細い指先でトントンと叩いた。


弾が貫通した跡は2ヶ所あって、フィンは目を丸くした。

後数秒・コンマ何秒ズレていたら
どちらかに弾が当たっていたかもしれないと思い胸を撫で下ろした。


リヴァイが静かに口を開き
「……背中の傷……悪いが見た…傷の深さをみるときにな……」
バツが悪そうに顔色が曇っている。


フィンは目を細めながら、
こくん。と縦に首を振った。

まだ外は薄暗い。
朝焼け前の静けさがフィンとリヴァイを包み込む。


フィンは精一杯の低い声をだして
「……手当ありがと。」
と呟き、リヴァイから背を向け外に向かって走り出した。


リヴァイが
「おいッ!」
と声をかけるが、加速させて空にフィンは飛び出した。


目を細め、落ちていくフィンを覗き込んでいる
リヴァイと目が合う。
リヴァイの口がぱくぱくと動いているように見えた。


リヴァイから視線を外しフィンは宙を舞いながら
朝焼けで少しだけ明るくなり始めた街並みに姿を隠した。
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