第3章 堕天使の舞踏会
そっと_____。
リヴァイの濡れた前髪に指先を絡ませる。
自分の意志を持つかのように濡れた前髪が
フィンの指先に絡みつき
捕まえようとしてくる。
触れた指先がどんどん熱くなる。
リヴァイの白い透き通った血色の肌色の頬にもう片方の小さな手を滑らせた。
うすらうすらに柔らかく降り注ぐ月の光。
照らし出されたリヴァイの寝顔が
ただあまりに綺麗すぎて堪えきれず涙が溢れた。
流れる涙が止まらないのは生きる世界が違う人に
憧れてしまったから。
この美しい憧れを人々は恋というのかな。
泣き声は押し殺した。
でも涙は止められず、溢れていく。
リヴァイの顔に一粒の涙が堕ちた。
その時______。
雨の艶を纏った瞼が静かに開いた。
三白眼がこちらを見上げる。
哀しげにもみえる、安らぎを含むような眼光に
呼吸をすることに忘れるぐらいに
フィンは吸い込まれた。
激しかった雨音が、止んだかのように聴え去っていく。
微速度の世界に二人だけの鼓動がゆっくりと重なっていく。
リヴァイの優しいまなざしがフィンを捉える。
フィンは、涙に潤んだ瞳でリヴァイを愛おしく見つめる。
お互いに見つめ合ったまま、また秒速のゆっくり時間に堕ちていく。
リヴァイの長くしなやかな人差し指がそっとフィンの頬を伝った哀しい涙を拭いとる。
そのままリヴァイの温かい手がフィンの細い首にまわされる。
互いに惹かれ合うかのように顔をゆっくりと近づける、静かに濡れた唇を重ねた。
リヴァイの唇は微かに甘くさわやかな香りがした。
やさしい口づけを互いに噛みしめる。
最幸の時間は一生忘れない感覚をフィンの唇に刻み込んだ。
そして柔らかいまなざしの三白眼が静かに瞑る。
安心して寝息を立てて眠っている。
そっとフィンは唇を離した……
初めて触れた唇の感触に胸の鼓動はおさまることを知らない。