第3章 堕天使の舞踏会
突然、稲妻が落ちるような殺気を感じて、素早く振り返る。
さっき追いかけてきた、調査兵団の男がいる。
さっき尾行をたったはずなのにどうして?と疑問が浮かんだ瞬間。
「何をしたッ!
エルヴィンにッ!!!」
と怒号が飛んできた。
男はにらみつけてくる。
パシュッ!
フィンはアンカーを天井に突き刺し素早くに天井に移動し、
殺気を放つ男性に体を向けた。
そしてとっさに刃に手をかけた。
しかし引き抜くことに躊躇した。
一瞬の躊躇を、男は見逃さなかった。
「殺す気なんだろう、来いッ!!」
と憤怒しながら挑発してくる。
顔は仮面に阻まれ見えないが、口元から顎髭が露出している。
そして今にもフィンを殺さんとばかりに睨みつけてくる。
誰かを殺すために動いているわけじゃない!!
と言いかけたが、黙り込んだ。
しばらくお互いに睨み合ったが、顎髭の男は丸腰だ。
とてつもない殺気を出してくるが、
丸腰相手に闘うつもりなど毛頭ない。
幸い仮面をまだ身につけていたので、
顔も見られていない。
争わない選択を選んだ。
窓のある方向にアンカーを壁に突き差し
体を丸めワイヤーが巻き取る勢いで窓を突き破った。
「お前の匂い覚えたぞッ!
絶対に逃がさないッッ!!」
と叫んでいる男の手に何か握られている。
”得体の知れないもの”が火を吹いた
瞬く間にフィンの横顔をかすめていった。