第20章 悪戯と祝杯
ピカピカに磨かれたワイングラスを片手に、
ソファーに腰かける。
フィンもリヴァイに続き腰かける。
「このワイン、リヴァイさん飲みたかったんですか??」
いや、お前と飲むために置いといたに決まってるだろうが。
コイツ何言ってやがる。
リヴァイは眉間にしわを寄せながら
「あぁ。」
と単調に返事をした。
「そっかぁ‥…」
フィンは注がれていくワインを眺めていた。
「‥‥なにに乾杯します?」
コイツ、エルドみたいなこと言いやがる。
いや、酒好きの人間はこうなのか?
「‥‥必要か?」
リヴァイが面倒くさそうにぽつりと呟く。
「‥‥‥ん~。
あっ、そうだ、
今日はたくさん語りましょう。
なんてどうですか?」
「‥…お前それ乾杯になると思ってるのか‥‥?」
リヴァイの目元が緩んでいく。
「‥‥だって、リヴァイさんのこと知りたいから」
「わかった。いいだろう。
教えてやろう。」
リヴァイの白く細い指先がフィンの髪の毛をそっと撫でる。
高く結んでいた髪をリヴァイが緩めてフィンの髪の毛ふわっとなびきながら、おろされる。
「俺はこっちのほうが好きだ。」
リヴァイの三白眼が優しくこちらを覗き込んでくる。
いやいやいや、その顔が反則的にカッコいい・・・・
リヴァイさんって前から思ってたけど女の人みたいな綺麗な顔してる…。
フィンは一気に赤面する。
「‥…はい。」
「すぐ顔に出るところもいい。」
リヴァイの細い指先がフィンの髪をさらさらと弄ぶ。
「‥‥‥もう降参です。」
フィンは赤くなった顔を隠すように
リヴァイの片手に持たれたワイングラスを
自分のワイングラスと重ねる。
「かんぱい…」
フィンは消え入りそうな声で呟く。
小さくカチン。
とワイングラスの重なった音が鳴り響いた。
「あぁ。」
リヴァイの色めいた唇にワイングラスがつく。
そっと、ごくり。
リヴァイの白く太い男らしい喉元にワインが通過していった。
ワイングラスを白い指先が絡んで持っている手に
さらさらして艶のある黒い前髪、
うっすらと赤みを帯びた白い肌、
全てに引き込まれるように魅了されていく。
「おい。
飲まないのか。」
リヴァイの低い声がフィンをはっとさせる。
「いただきますっ。」