第20章 悪戯と祝杯
「酔い回っちゃいました・・・?」
リヴァイがこちらを見つめる。
いつもの切れ長の目が鋭く光っている表情に戻る。
「バカ言え、俺は結構酒強い。」
「へぇ‥‥そうなんですね、
じゃあ二人で飲みなおしますか??
私今日全然酔えなくて」
「あぁ?
お前俺の部屋で酔って、ただで済むと思ってるのか?」
フィンは自分の発言にハッとする。
慌ててリヴァイの方を振り向く。
「あっあのそういう意味じゃ・・・」
「どういう意味だ?言ってみろ」
リヴァイの細く骨ばった指先が火照り始めた顔に触れる。
そっと顎を引き上げられる。
一昨日の夜を思い出して顔に熱が集まり始める。
自分でも今はわかる、
リヴァイに抱かれる期待をしていること。
欲情とはこの事だろうと思った。
ミケやエルド、ハンジに触れられた時よりはるかに身体が熱を帯びて感覚が研ぎ澄まされる。
「リヴァイさん‥‥あの‥‥」
自分の想いを伝えようか悩みながら口を開く。
リヴァイがぱっと顎から手を放し、フィンから離れて部屋の奥に進んでいく。
「これでも飲むか。」
リヴァイが屈んで木箱から瓶を片手に持っている。
赤くなった顔を冷まそうとフィンは手をひらひらと顔の前で仰ぐ。
「は……はい?」
「このワイン、お前が好きそうだ。」
振り返ったリヴァイは赤ワインを片手に歩み寄ってくる。
リヴァイのまなざしが柔らかくなったのを感じる。
リヴァイさんの目が変わった・・・・。
フィンはそれだけで嬉しくなる、
ワインボトルを見て好みの銘柄でさらに喜びながら
「リヴァイさん…このワイン私好きなんです。」
まぶしい笑顔を向ける。
「‥…お前、酒とハンジにはその顔するよな‥‥」
りヴぁいがため息をつく。
「え?‥‥そんなことないですよ」
フィンはむっとしながら頬を膨らませた。
バカ野郎、なんてかわいい顔してるんだ。
リヴァイは口走りそうになりながら、
手を口元に添えながら、慣れた手つきでワインを開ける。