第1章 過去と出逢い
ゆらり________
ゆらりゆらり___________
目が醒めると
紅い世界に支配されていた。
焦げ付いた匂いが鼻につく。
バチバチと轟音を
立てながら燃え盛る。
耳鳴りのように響く。
あぁ。
と繰り返しみる”あの夢”だと気づく。
誰かが
私の背中を押す。
「生きなさい。」
とだけ何度も繰り返し木霊する言葉。
生きる事を諦めさせない言葉は
燃える世界で足を止めることを赦さない。
紅い世界が視界から段々と消えていく。
遥か遠い空が燃えている。
いつもここで夢が醒める。
「また”あの夢”か・・・・」
外はまだ星がうっすらと見える。
暗いがりのなか寂しい部屋で
ひとり呟く。
汗ばんだからだに寝巻のシャツがこびりつく。
いつも”あの夢”から
目が醒めると嫌な汗と、頬には涙が流れている。
涙の跡をこすりながら
哀しい顔をしている
鏡の中の自分を見つめる。
お決まりの、背中の突っ張った古傷が
じんじんと痛み出す。
そっと白いシャツを脱いで
鏡の前に後ろ向きに立つ。
窓から差し込んだ蒼い光が、
髪の毛を銀色と白色に輝かせる。
きらきらとする長い髪をそっとかきあげる。
白く光る背中を見る。
古傷は焦げた跡にみえる。
でもこの傷をいつ負ったのか知らない。
”あの夢”の火事も知らない。
考えるといつも頭痛が邪魔をする。
ズキッ・・・・・_____
鈍い痛みが頭を支配し思考を鈍らせる。
頭を抱えてながら、
自分を抱きしめるように
小さくうずくまる。