第20章 悪戯と祝杯
「フィン、待ちなさい。
君はここで寝た方がいいんじゃないか?」
「へ?
‥‥酔ってないので……
大丈夫です……。」
フィンはエルヴィンに赤くなった顔を向ける。
「・・・なら構わない。
君が寝ていた部屋を使えばいい。」
エルヴィンは顎の前に手をついて話す。
「・・・あぁ。あの部屋ですね。」
エルドが、エルヴィンに相づちする。
「ありがとうございます。」
フィンはエルヴィンに頭を下げた。
「エルヴィン、お疲れ。」
ミケがグラスを片手にドアを開けて出ていった。
「フィンそのグラス頼めるか?」
エルドが空の酒瓶を両手に持っている。
フィンはグラス片手に、ドアを開ける。
「では団長、失礼します。」
エルドがエルヴィンに挨拶して部屋を出た。
「おやすみなさい。」
エルヴィンに微笑んでフィンも部屋から出ようとする。
「フィン。」
名前を呼ばれて立ち止まる。
「はい……?」
顔を赤くしてエルヴィンの方に顔を向ける。
「誰も襲わないように。」
エルヴィンがフッと笑った。
「はい・・・・。すみません。」
フィンはボソッと呟いた。
「謝ることじゃない。
私だけいい思いをさせてもらったからね。
フィンに、お返しをしたいと思っているよ。」
「はい・・・。
おやすみなさい・・・。」
真っ赤な顔でフィンはエルヴィンの部屋を後にした。