第20章 悪戯と祝杯
「フィン。主役だから真ん中に座ったらどうだ?」
エルヴィンがフィンに話しかける。
「あっ・・・私は端っこで・・・。」
手前のリヴァイの横に座る。
ハンジがここ座ればいいのに。
と反対側のソファーを叩く。
「何から飲みましょうか!?」
フィンは酒瓶から目を離さない。
ハンジの座っているソファーだと
エルヴィンが間違いなく視界に入る。
隣の不機嫌そうに威圧感を放っている
リヴァイも十分怖いが、
いまはエルヴィンと
目が合う方が恐ろしい。
ソファーに深く座りなおそうと、
腰を少し浮かした瞬間、
ミケに腕を引っ張られ
大きな椅子に座らされる。
「主役はこっちのほうがいい。」
ミケが鼻で笑う。
フィンはミケをちらっと小さく睨んだ。
ミケがリヴァイの横に腰を落とす。
リヴァイがため息を吐いた。
フィンは俯くが、これ以上エルヴィンを
見ないのは不自然だ。
覚悟を決めて正面を見上げた。
モブリットが
「はい。」
とグラスを渡してくれた。
モブリットの純粋そうな笑顔に
フィンは心が落ち着いた。
「フィン、どれから飲みたい?」
エルドが目を輝かせている。
「あれ?エルドさん飲めるの?」
「あぁ。一週間、リヴァイ兵長の部屋を
掃除することで許して持ったよ・・・。」
エルドが苦笑いで話す。
「よかった、エルドさんも一緒に飲めて」
フィンの声色が明るくなる。
ハンジとエルドと最初のお酒を決める。
「やっぱりこれですよね!」
フィンはシャンパンを片手
みんなに見せる。
「あ、誰かナイフ持ってます?」
「フィン、シャンパンサーベルできるの?」
エルドが目を丸くする。
「おい。」
リヴァイが細く小さなナイフを渡した。
「ありがとうございます。」
フィンはリヴァイからナイフを受け取った。
「そのナイフ・・・リヴァイ…。」
ハンジがリヴァイのナイフを見つめる。
「誰に貸そうと自由だろう?」
リヴァイが面倒くさそうに
ハンジにつぶやいた。
「開けてもいいですか?」
フィンがリヴァイに尋ねる。
「あぁ。頼む。」