第20章 悪戯と祝杯
コンコンッ____
ハンジが勢いよくエルヴィンの部屋のドアを開ける。
「エルヴィン、飲もう!!」
エルヴィンがまたか・・・?
という表情でフィンとハンジを見る。
遅れてモブリットが木箱を運び入れる。
ドシンッ。
カチャカチャ。____
木箱に入った酒瓶がぶつかりながら
地面に置かれた。
「その量のお酒はどこから・・・」
エルヴィンは悪酔いしたフィンを思い出す。
フィンもエルヴィンの顔を見て
顔をそらしながら呟いた。
「飲みすぎないようにしますから。」
「あぁ。頼む。」
エルヴィンはまた書類に
目を落としながら呟いた。
「この書類だけ済ませたら、
私もそっちへ行くよ。」
フィンはデジャヴだ・・・。
と笑い出した、その時。
走馬灯のようにエルヴィンにしでかした行為を思い出した。
みるみるフィンの顔が赤面していく。
「フィン、顔真っ赤。熱でもある?」
モブリットが顔を覗き込む。
「‥‥‥私熱あるかもしれません。」
全身からとんでもない汗が噴き出る。
恥ずかしくて一刻も早くここから、
エルヴィンの前から消えたい。
泣き出しそうな顔で部屋を出ていこうとする。
ドアが開きリヴァイがこちらを見ている。
「なんだ、その顔。」
「・・・・・いえ。ちょっと・・・。」
言葉がうまく出てこない。
「熱でもあるのか?」
リヴァイの手がフィンの額に触れる。
フィンが咄嗟に触れた手から
身体をビクつかせて、逃げた。
「お前な‥‥」
リヴァイの不機嫌な視線が付き刺さる。
「ごめんなさいッ‥…」
エルヴィンの部屋から逃げ出す。
ハンジとモブリットの制止する声が聞こえたが
恥ずかしくて全力疾走しながらフィンは兵舎の外に飛び出した。
外の風が心地いい。
しばらく夜風に当たり、立ち尽くす。
後ろから誰かに腕を掴まれた。
「いやッ!!だれ!?」
突然のことでフィンは体をこわばらせた。
後ろに立っていたのはミケだった。
「エルヴィンの部屋に
いるんじゃなかったのか?」
ミケは首をかしげながら呟いた。
「‥…私‥…お酒もう飲めないですっ。」
両手で顔を隠す。
「ふッ。思い出したのか。」
ミケが鼻を鳴らす。