第19章 鍛錬と看板娘
「待ちきれなくて来ちゃったよ。」
「おばさん?」
「これ、餞別祝いに。
主人と話し合ってね。
盛大に贈らせてもらうよ。」
「調査兵団のみんなと飲みな。」
おじさんは重たそうに木箱を置いた。
中にはたくさんのお酒が入っている。
なかには貴族たちが好んで飲むシャンパンまで。
「おじさん、おばさん。
こんなにたくさん。本当にありがとうッ。
今までのことも……ありがとう。」
フィンは二人に抱き着く。
「もうッ。泣くんじゃないよッ・・・」
「お前だって泣いてるじゃないか・・・。」
三人で肩を寄せ合いに涙を浮かべた。
「いいかい、いつでもなにかあったら、
戻ってくるんだよ。
ノインにもしも会えたら、
同じこと伝えておくれ。」
「ありがとう。
逢えたら必ず伝えるね。」
「フィンあんた。
その髪色の方がずっと似合ってるよ。
自信もって頑張んな。」
おばさんはそっとフィンの髪をなでる。
「こんなこと言っちゃなんだが、この子をよろしく頼むよ。
私たちにとっては二人は自分の子ら同然だったんだ。
突然嫁に出す気分だ・・・。」
おじさんが寂しそうに呟いた。
「おじさん、気が早いよ・・・。」
フィンはくすっと笑う。
「身体に気をつけな・・・。」
おばさんが包帯が巻かれている
フィンの手をやさしく握る。
「おじさん、おばさんも元気でね。
また会いに来るから。」
馬車が店の前に着いた。
「もう来てしまったか。」
おじさんが名残惜しんで呟く。
「馬車呼んでくれたの?
ありがとう。
実はね、全部リヴァイさんが紅茶買ってくれたの」
フィンはおばさんに向かって笑みを浮かべた。
「なんだって!この小さい兄ちゃんが!!」
おばさんが大笑いしながら
「太っ腹じゃないか。気に入った!!」
「あんたもいつでも寄ってくれ!!」
おばさんは笑ってリヴァイの背中を叩く。
フィンを含め三人は恐ろしくて
リヴァイの方を見ずに馬車に木箱を乗せていく。
「リヴァイ兵長、積み終わりました・・・。」
エルドが恐る恐る声をかける。
「あぁ。邪魔したな。
また来るぞ、ばばぁ。」
「ははっ。またおいで。」
「・・・・おばさん・・・
リヴァイ兵長は・・・。」
言いかけてフィンは口をつぐむ。