第19章 鍛錬と看板娘
カランカラン____
久々に聴く、レ・ティアーのドアベルの音。
この音すら懐かしい。
店内のドアを開けると
ふんわり。
やさしい紅茶の彩とりどりな匂いが漂う。
「わぁ。こんなに種類がたくさんあるんだ。」
エルドが珍しそうに店内を歩く。
リヴァイは
「全部俺が買い取る。」
店内に入ってからの第一声だった。
「へ!?」
フィンは裏返った声を出す。
「もう、飲めなくなるんだからな、
当然だろう。」
「・・・・ありがとうございます。
リヴァイさん・・・。」
出逢った頃を思い出す。
思い返すと、リヴァイとハンジに出逢ってから
自分の運命は大きく動いた。
懐かしく思い出してからフフッと笑みをこぼす。
「少しはおまけしますね」
とリヴァイに笑いかける。
「いい。
少しでも値切るな。」
「・・・・・え?」
「そのお金で、お前の服をまず買え。
あとは好きにしろ。」
たしかに・・・・
火事の時に着ていた服
一着のみだ・・・。
と納得する。
「それでも、かなりのお金が・・・」
フィンは言いかけてリヴァイの好意に気づく。
「みんな、喜びますね。」
と笑いかける。
「かもな。」
リヴァイが照れ臭そうにフィンから顔をそらした。
孤児院と地下街の人にまた物資を
届けることができる。
それほどの金額だ。
「いつか、俺がどうにかする。
俺が地上に来られたように。」
リヴァイがそうつぶやいた。
「はい・・・。」
フィンは笑みを浮かべる。
エルドは二人の会話をただ見つめていた。
フィンは紅茶を淹れ始める。
ふんわりと甘い香りが店内にする。
「フィンの淹れる紅茶
おいしかったなぁ。」
リヴァイの視線がエルドに向けられる。
「なんだ、お前淹れてもらったのか。」
エルドは口元に手を当てながら
「・・はい。酔いつぶれた日に・・・」
俯くエルド。
「お酒、少しならありますよ。」
フィンは小さい小瓶を
店奥から出してきた。
「お前・・・・
まぁいい。飲むか。」
「へ。リヴァイさん飲むんですか?」
「エルドは禁酒中だぞ。」
「あ、そっか・・・
ならやめます・・・?」
「はぁ・・・・じゃあエルド、
一杯だけだぞ。」
「いいんですか兵長。」
エルドの目が輝く。