第19章 鍛錬と看板娘
毎朝通っていた店への道を歩く。
何にも変わらない街並みなのに
今はリヴァイとエルドと歩いている。
複雑な気持ちのままいつも通り
ノインの勤めていた酒屋を通りかかる。
フィンの脚が止まる、
「すみません、癖で・・・。」
「あぁ。」
リヴァイが返事する。
「・・・・?」
エルドはなぜ止まったのかわからず、
立ち尽くしていた。
エルドの目が輝きはじめた。
「兵長・・・寄ってもいいですか?」
「お前、今禁酒中だろう。」
「禁酒の間は飲みませんよ・・・
お願いです・・・。」
「私も行きたいです・・・。」
フィンはノインの勤めていた酒屋に
向かって歩き出す。
当たり前だが、ノインの姿はない。
店主がフィンに気づく。
「フィン?」
店主の女房が店の裏から出てきた。
「まぁ、その髪・・・・フィンかい?
あんた、家が火事になっててっきり・・・・。」
青ざめた顔で話す。
「おじさん、おばさん
ご迷惑をおかけしました・・・・。」
頭を下げる。
「憲兵団が来てノインのことを聞かれたよ。」
「アイツが人殺しなんて、何かの間違いだろう・・?」
おばさんが心配そうな顔で
フィンの肩に手を置く。
「なんだ、あんたたち。」
おじさんがリヴァイとエルドが
調査兵団だと気づき、睨みにつける。
「おじさん、違うの。
私調査兵団に今お世話になっているんです・・・。」
フィンは二人に説明をする。
真意を隠したまま二人に説明をして心が痛む。
「そう・・・・
訓練兵に入団するの・・・。」
おばさんが涙を浮かべる。
「ノインがもし帰ってきたら、
俺が叱っといてやる。」
おじさんは笑いながら肩をまわす。
「レ・ティアーもお返しします。」
「あぁ。あんたほど、
繁盛させられないだろうけど、
頑張るよ。」
「今まで、お世話になりました。」
深々と頭を下げる。
「そんな辛気臭い顔はやめな。
いつでもまた顔見せに寄っとくれ。
子供が二人いなくなるようで・・・・
私も寂しいよ。」
おばさんは力いっぱい抱きしめてくれた。
「さ、ちゃんと店に行ってきな。」
おばさんはレ・ティアーの合い鍵を渡してくれた。
「ありがとう、借りるね。」
三人は酒屋を後にした。
エルドは物欲しそうな顔で
何度も店を振り返っていた。