第19章 鍛錬と看板娘
リヴァイとエルドの前をフィンは歩いていた。
「先に一応、家に寄ってもいいですか?」
「……好きにしろ。」
リヴァイが結局ついてきたエルドを
睨みながら話している。
「リヴァイ兵長、顔…こわいですよ‥…」
フィンを睨むリヴァイ。
「バカ言え。俺は今、たのしいぞ。」
全く逆の表情で呟くリヴァイ。
「行きましょう。」
エルドがははっと苦笑いをリヴァイに向けフィンの隣を歩く。
エルドと話しながらフィン達は家を目指した。
時々リヴァイが相槌するが、腕組して始終黙っていた。
エルドの顔が引きつっている。
灰となったであろう、家に向かうのは足取りが重かった。
しかしエルドの顔を見ていると同情をして自然と足早に家に向かっていく。
家の在った場所は黒い跡だけを残していた。
雨のせいで燃え残った灰は流れ
周りの地面を黒く染めて広がっていた。
まだ辺りには焦げ残った異臭が立ち込めて鼻につく。
「‥…‥…。」
ただ黙って焦げ跡の見る。
今までノインと過ごした思い出がよみがえる。
涙が浮かぶ。
フィンは涙が流れないように空を見上げる。
泣いたってノインはもう帰ってこない。
逢えるわけでも、家族だった頃に戻れるわけではない。
深い溜息を吐いてゆっくりと呼吸する。
涙が引くのを待った。
フィンを静かに見守っていた二人に顔を向ける。
「リヴァイさん。
助けてくれてありがとうございます。」
リヴァイに深くお辞儀をした。
「……あぁ。」
リヴァイは顔を斜めにしたまま腕組しながら返事をした。
「行きましょうか。」
エルドにも向かって話す。
「もう、いいのか」
エルドがフィンに話しかける。
「もう、大丈夫です。行きましょう。」
エルドに笑顔を向け歩き出す。
リヴァイはじっとフィンをみつめ、
店の方向に歩き出した。