第19章 鍛錬と看板娘
咳き込みながら
「いえッ・・・別々の部屋を用意してもらいました。
でも・・・」
フィンは言いかけて
言葉を詰まらせる。
「でも・・・・?」
その場の空気が凍り付く。
「エルヴィン団長の部屋でナイル師団長と三人で飲んで、
三人とも寝落ちしました・・・。」
ばつが悪そうに話す。
「えぇ。あの二人と。
すごいメンツと飲んでるね。」
ハンジが笑う。
「ナイル師団長ってそんなにフランクなんですか・・?」
ハンジにモブリットが問いかける。
「いや、私はそんなかかわりがないからよく知らないけど。
フィンだからじゃないかな。」
「え?かなりお酒楽しそうに飲まれてましたよ・・・?」
フィンが不思議そうな顔をする。
「いやだって、いくらなんでも
尋問のあと飲むのは・・・
特別何かないと・・・ねぇ?」
ハンジがパン片手にニカっと笑いかける。
「たしかに・・・・尋問が終わった後、
普通は接してくれました。」
「憲兵団までフィンを欲しがるんじゃないか、
私も心配になるよ。」
「お断りしたので大丈夫だと思います。
そもそも私じゃ卒業成績上位10名に入れませんよ。」
「えッ。フィン訓練兵団にいくの。」
エルドがパンを落としそうになりながら呟いた。
「・・・・・はい。
エルヴィン団長の提案もあって。
私も、ただ飛び回るしかできないので・・・・
今日初めてブレードを使ったんですが、
これが壁外だったら間違いなく
私は巨人に食べられて死んでました。」
「フィン・・・・。」
モブリットの表情が悲し気に向けられる。
「それにこのままだと、みなさんの
足を引っ張るだけになってしまいます。
基礎から学んで教官に認められてから、
調査兵団、仲間になりたいんです。」
フィンの目は強い輝きを放つ。
「そうか。」
リヴィイが短調に返事をした。
「フィンとエルヴィンが決めたことなら、
口出しはできないね。」
ハンジがそう言いながら
うかない表情をするモブリットの肩を叩いた。
昼食をとりながら、
他愛もない話をする。
ふと、閉めているお店のことが気になる。
それに燃えた家はどうなってしまったのか。
フィンは静かに考えていた。
「フィン、考え事?」
ハンジを含め視線が集まる。