第19章 鍛錬と看板娘
「‥‥あぁ、ミケ。なんだ、お前もか。」
「‥‥リヴァイ、
お前も似合わないことするな‥‥。」
二人の口元がフッと緩んだ、
そんな気がした瞬間に
ミケがリヴァイの間合いに入る。
リヴァイが短剣を持った片手で
ミケの腰に手をまわす。
ミケもリヴァイの腕を組み交わす。
ミケがリヴァイを捉えた、
と思ったら今度はリヴァイがミケに絞め技を決めそうになる。
両者は譲らず、あと一歩のところで組技から身体を逃がす。
周りの外野の兵士たちにも緊張が張り詰める。
一人の男の兵士がフィンに
「どっちが勝つと思う?」
と肩を叩いて話しかけた。
リヴァイにほんのわずかに、スキがうまれ、ミケは見逃さなかった。
リヴァイ体が宙をくるりと半回転しながら小さく舞った。
あの技は‥‥!!
フィンは、自分が食らったミケの投げ技だと走馬灯のように思い出した。
「チッ。」
リヴァイが抜け出そうと身をよじる。
「フィン!いまだ!!」
ミケが短剣をとるように目配せする。
「へ‥…あっ!ハイ!!」
リヴァイの手元から短剣を取り上げた。
「チッ!汚ぇぞ。」
リヴァイが少し不貞腐れた表情を浮かべた。
「格闘術の未経験者に無茶ぶりさせてよく言う。」
ミケがリヴァイに手を伸ばしながら鼻で笑う。
「‥ちっ……。」
不服そうにリヴァイはミケの手を取った。
周りから
「ミケ分隊長の方が強いのか!?」
「いや、巨人の前なら兵長が最強だ!!」
「さすが調査兵団のツートップだ!!」
などどちらが勝っても、
リヴァイとミケは称賛の声を浴びていた。
フィンは短剣をリヴァイに渡そうと近づく。
「フィン!!」
エルドとモブリット慌ただしく駆け寄ってきた。