第19章 鍛錬と看板娘
「戻ったのか。」
リヴァイがフィンに声をかける。
「はい。さっき戻りました。」
「ねぇリヴァイ、
八つ当たりしてるみたいだよ。」
ハンジが呆れ顔で呟く。
「あぁ?
俺はこの二人の緩んだ気を
締めてやってんだ。」
リヴァイが舌打ちしながら
冷たい口調で吐き捨てた。
「お前、その恰好は。」
リヴァイがフィンに呟いた。
「立体起動を少し使わせてもらうのに着替えました・・・。」
「俺から短剣をとってみろ。」
「え、無理です。」
即答する。
話している間にリヴァイの後ろから
エルドとモブリットが息をひそめて
リヴァイのスキを伺う。
「いいから、来い。」
リヴァイが短剣を掲げ手をこまねく。
後ろから
「今だっ!!」
エルドとモブリットが
リヴァイの背中につかみかかる。
リヴァイが顔色一つ変えずに、
目線をフィンに向けたまま
エルドの足をつまずかせ、勢いのまま飛ばす。
モブリットの腕を締め上げて動きを制圧する。
ハンジのバカ強いってリヴァイのことを
言っていた事を思い出す。
リヴァイの強さは次元が違う。
大の男を二人も相手にしていて
汗をかくどころか、息一つ乱していない。
しかも、殺気をまとって威圧感を出している。
睨まれただけでフィンは動けない。
「ねぇ、リヴァイ。
さすがにそれは無理だよ。
フィンの体の骨折る気?」
ハンジがリヴァイとフィンの間に入る。
「うるせぇ、メガネ」
「兵長!!腕折れますッ!!」
情けねぇな。と言いながら
リヴァイはモブリットの腕を解放する。
モブリットは腕をさすりながら後ずさりした。
フィンもリヴァイの威圧感に耐えられず、
後ずさりする。
「面白いことになってるじゃないか。」
振り返るとミケが鼻を鳴らして笑っている。
「リヴァイ、俺が相手になろう。」
ハンジを含めその場にいた全員がおそらく息を呑んだ。
兵団の最強実力者の対人格闘術なんて
滅多にみられない。
周りの兵士たちが色めきだす。
「やっぱりミケ分隊長かな」
「馬鹿か、リヴァイ兵長が勝つだろ!」
その場はどちらかが勝つかひしめき合う。
リヴァイとミケの睨み合っている。
ハンジとフィンはゆっくりと二人の視線から離れた。