第19章 鍛錬と看板娘
ガギンッ!!!!_____
フィンの前方の方から辺り一面に鈍い音が響き渡った。
「しくじった!!避けろ!!」
フィンが声のする方向を見上げる。
兵士がバランスを崩しながら落下していく。
模造のうなじに硬質化ブレードの刃だけが
残ってしまっていた。
このままだと斬りかかった兵士に刺さってしまう。
兵士は体勢を変えようとしているが、
木を蹴り勢いづいていて、間に合いそうにない。
フィンは咄嗟に目にも止まらぬ速さで
刃の残った木材まで距離を詰める。
キィィィン____
兵士の前にあたったブレードを
地面に叩き落とした。
兵士はそのまま、木材のうなじに
バランスを崩しながら突っ込んだ。
「死ぬかと思った‥‥。
あんた‥‥助かった、ありがとう」
と兵士は横腹をさすりながらフィンにお礼を言う。
「いえ!!無事でよかったです!」
フィンはニコッとして
先程の待機場所へと軽やかに戻って行った。
直ぐに自分の番になり木材へと、斬り込んでいく。
ガギンッ。
刃の鈍い音が響いた。
他の兵士同様には切れずにただ浅い傷を残しただけだった。
「‥……」
フィンは浮かない顔でエルヴィンの元へ向かった。
「フィン!!やっぱりすごいよ!!」
声をかけてくれたのはハンジだった。
「ハンジさん!!」
フィンの顔色が明るくなった。
「フィンは立体機動装置のセンスは抜群だね!!」
ハンジの褒め言葉に胸がチクリと痛くなる。
素人がすぐにブレードを
使いこなせるなんて思ってなかったが
落ち込みを隠せなかった。
「そんな気を落とさないで!!
みんな最初は宙に浮くことすらできないんだから!!」
ハンジがフィンの背中を叩く。
「‥‥…はい」
「フィン、気を落とすな。
私の想像を凌駕する立体機動装置の腕だった。」
エルヴィンがフィンの顔を覗き込む。
「キミがいなければ、あの兵士も
打ち身だけでは済まなかっただろう。」
と先程フィンに救われた兵士を
見ながらエルヴィンは微笑んだ。