第18章 馬車に揺られて
馬車に揺られながら
エルヴィンが今後の流れについて説明する。
「訓練兵への入団は、私が推薦状を書こう。
通常3年の訓練期間だが君はシャーディス教官に、
認められればいいと考えている。
どのくらいの期間で返ってこられるかは
君の努力と力量次第だ。
もちろん、途中で辞退してもかまわない。
君には選ぶ権利がある。」
エルヴィンが団長の顔をして淡々と話す。
「はい!
必ず期待に応えます!!」
フィンは大きな声で返事をする。
フィンの覚悟はもう揺らがなかった。
エルヴィンがははっ。と笑う。
「威勢が良くていい。
だが、無理はしないように。
まずは怪我を治してから。
ゆっくりと話を進めよう。
それまでキミのことは調査兵団が
面倒を見させてもらおう。」
「はい、よろしくお願いします。」
フィンが頭を深く下げる。
「何か、困ったことがあれば
なんでも言いなさい。
できる限り、協力しよう」
エルヴィンの蒼い瞳が輝く。
団長の顔をしている時のエルヴィンは
全く昨夜の気さくなエルヴィンと違う。
フィンはふと、エルヴィンにしでかした
"いやらしいこと"が脳内によぎる。
内容を聞くのはこわいが、なにかしたことは
間違いなさそうなので
まず謝っておこう……。
「エルヴィン団長、すみません。
私昨日・・・何したか思い出せないんすけど・・・
すみませんでした。
こんどからお酒は程々にしますね。」
フィンは肩を竦めエルヴィンに謝る。
「・・・あぁ。」
エルヴィンの顔を見ると少し赤くなっているように見えた。