第16章 友人と乾杯
「ナイル、やってくれたな。」
エルヴィンが呟く。
「すまん、エルヴィンこれは・・・事故だっ」
「いいですよ、
エルヴィン団長が隠しなさい
って私に言ってただけなので」
フィンは困ったような顔で笑いかける。
「・・・・すまないほんとにこれは・・・。」
ナイルの手から取れてしまったウィッグを
フィンは受け取ってソファーに無造作に置く。
「もう、私隠して生きるの嫌なんです。
私はこれからありのままの姿で生きたいです。」
と真っ直ぐナイルとエルヴィンの顔を見る。
ナイルが無言でフィンの髪の毛に触れる。
「さらさらだ・・・・・。」
呟く。
「・・・・すまない!!」
ナイルが慌ててフィンの髪から手を離す。
「別に触るくらいならいいですよ」
慌てるナイルをみながら、フィンは呟く。
「いや、滅多に触るんじゃない。」
エルヴィンがナイルに向かって話す。
「ははッ。
あのエルヴィンがやきもちか?」
とナイルが笑う。
「あぁ。そうだ。」
エルヴィンの言葉にフィンは顔を赤くする。
「その・・・・誤解のある言い方・・・・」
「誤解されようが私は構わない。
キミが"愛妻家"の男に手を出されるくらいなら」
「だれも手をだすなんで言ってないだろう」
とナイルが噴き出して笑う。
「エルヴィンさん…もうやめ…………」
「フィンの処女はナイルには絶対やらない」
フィンは不機嫌感をあらわにする。
言ったよ・・・この人・・・。
と口に出しそうになりながら顔を手で隠す。
「ナイルさん、もう何も言わないでください!」
フィンは顔を隠しながらナイルに言い放った。
「・・・・・あぁ。そうだな・・・。」
ナイルが笑いをこらえている。
「二人とも・・・ひどい・・・・。」
フィンが顔を赤くして
ナイルに背を向ける。