第16章 友人と乾杯
「このワイン、とっておきのワインだ」
嬉しそうにナイルが座る。
「なんだ、フィン、こっちに座ってるのか。」
まぁ飲め。
と新しく持ってきたワイングラスに
ワインを注いでいく。
ほらカンパイ。
とフィンとナイルはワインを飲み始める。
「・・・・・二人して飲むのが早いな」
とエルヴィンが呟いた。
「エルヴィン、お前が遅いんだ。」
と煽るナイル。
エルヴィンが一気にブランデーを流し込んでいく。
飲み干したグラスをカランッと音を立てて置き、
ワングラスをナイルに向け差し出す。
「おぉ。」
とナイルは嬉しそうにワインを注いでいく。
段々とエルヴィンの固い表情が緩んでいく。
エルヴィンも酒つまみに
話に華を咲かせていく。
最近考案した陣形の話を熱く語り始め、
調査兵団は予算を工面するのが大変だ。
たださえ予算が厳しいのに、
壁外拠点を作るのには
物資と莫大な金がかかる、
ハンジはやたらと実験してお金がかかる、
リヴァイはやたらと掃除用品を新調するから
地味に予算を苦しめる。
とフィンの知らない調査兵団の内情を話してくれる。
憲兵団の師団長も
調査兵団の団長も
お互いに苦労する面は違うが
男同士分かり合えるものがあるようだ。
二人とも酔っぱらうと面白い。
頬を緩ませながら二人の会話を見守る。
「フィン、君の話を聞かせてほしい。」
エルヴィンがフィンの顔を覗き込む。
急な無茶ぶりにフィンは言葉を詰まらせる。
「そうだな、男同士だけでは話してたら
いつもと変わらないからな。」
とナイルがフィンの頭に触れる。
ナイルの酔っぱらいの力加減が強くて
フィンの髪を隠していた
ウィッグが呆気なく取られてしまう。
フィンのサラサラとした
長い透明な白い銀髪が現れてしまった。
「・・・・すまない。」
ナイルが目を見開き
驚きながら謝罪を口にする。
フィンの髪の毛からフワリと漂う香り、
珍しい銀色交じりの白髪に目を奪われる。