第16章 友人と乾杯
エルヴィンが書類をカバンに片づける。
フィンの隣に座る。
エルヴィンの前にグラスをナイルが置く。
とぷとぷとブランデーを注ぐ。
「カンパイ」
三人でカンパイをして
お酒を飲みんだ。
大きなブランデーの瓶は、もうほとんど空だった。
ナイルもそこそこの酒豪だが
一人で飲んだペースじゃないなと
エルヴィンは空き瓶をみながら思った。
フィンは顔が赤いものの、
ほろ酔いといった具合だ。
相当の飲めるようだ。
「あぁ、酒がもうないな、
ちょっと待ってろ。」
ナイルがふらつきながら
ドアに向かっていく。
フィンは大丈夫ですか?
とナイルに付き添って歩いて行こうとする。
エルヴィンが、腕を引っ張り
ソファーに引き戻す。
ナイルが一人手を振りながら
部屋を出ていった。
よろけてエルヴィンの膝の上にすとん。
とフィンが腰を落とした。
「いきなり引っ張ったら驚いちゃます・・・。」
とフィンはエルヴィンの隣に
座りなおそうとする。
エルヴィンが阻止するかのように
フィンの腰に手をまわす。
「へ・・・エルヴィンさん」
「あんまり飲みすぎるんじゃない。
気づいてないと思うが
男が悦ぶ顔になっているよ」
「・・・・・それはエルヴィンさんが・・
そうみてるだけじゃ・・・・?」
とエルヴィンの腕をどかそうとフィンが触る。
「早くしないとナイルさんが戻ってきます・・・。」
と顔を赤くしながらフィンは話す。
「・・・・・あぁそうだな・・・。」
解放されてすぐフィンはエルヴィンから離れて
ナイルのいたソファーに座りなおした。
「・・・・・・そんな警戒しなくても・・・。」
エルヴィンが寂しそうに呟いた。
「・・・・・愛妻家のナイルさんの方が安全かと・・・。」
フィンは困った笑顔でつぶやく。
ガチャン____。
ナイルが嬉しそうに
ワイン両手に何本か抱えて戻ってきた。