第3章 堕天使の舞踏会
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だんだんと日が沈み、街灯がきらびやかに揺らぎだした。
幻想的な空間に包まれた城内にフィンは入り込んでいた。
豪勢に飾られているシャンデリアが、怪しく光り照らしだす。
怪しい仮面をつけ表情を隠しながら、
人々が揺らめき嗤い合う。
贅沢を肥し尽くした派手な衣装と、
これでもかと我一番に目立ちたがるように
煌びやかな宝石を身にまとう貴族たち。
酒と煙草、妖しい芳悦楽に浸る香りが城内に漂う。
きっと媚薬の類の香りと、
最近流通している薬物、ハブデインを
使っているのだろう、挙動がおかしい者もいた。
腐りきっている舞踏会に
憎悪と吐き気を感じながら
淫猥な嗤い声をかわす。
媚びを含み、微笑んでみせる。
フィンはヒールを高らかに鳴らす。
カツン……カツン……
ゆっくりと螺旋階段を降り広場を目指していく。
フィンはおとぎ話の主役を演じるかのように
上目遣いをして妖しい目を仮面のしたから覗かせ、
周りの紳士淑女を魅了する。
誰もが息を吞んでひっそりと魅入っていた。