第16章 友人と乾杯
エルヴィンと別部屋にしてもらいフィンは
久しぶりの一人の時間を過ごしていた。
雨はどんどん強くなっていく。
今日は止みそうにない。
調査兵団の宿舎を出るときに
リヴァイの姿がなかったことが気になる。
「……寂しい。」
ひとり呟く。
初めて会ったときはリヴァイのことを
不愛想な人だと思った。
堕天使として出会ったときは
すごく優しい顔をしていた。
宿舎で再会したときは殺気で溢れていた。
スカーフで首絞められたし・・・。
とスカーフを触りながら
リヴァイに上書きされた”しるし”を眺める。
昨日は強引だったけど、
抱かれなかった優しさも感じた。
思い出すと顔に熱が集中していく。
朝も意地悪をされたけど優しかったのに
どうして見送りしてくれなかったんだろう。
リヴァイに振り回されている自分が
もどかしく感じる。
ノインのことも気になる。
どうしてあんな男について行ったのだろうか・・・・。
今も生きているのだろうか。
捕まってしまったら処刑されてしまうのか、
自分のついた嘘に罪悪感の波が押し寄せる。
考えてもわからないことばかり。
憶測とあいまいな考えで
フィンの頭がいっぱいになっていく。
雨を見ていれば気が紛れるだろうと思ったが、
全く落ち着かない。
浮き沈みの激しい頭の中なのに、
不思議と心は穏やかで、
窓に映った自分は感情の無い表情を浮かべていた。
コンコン______
コンコンッ_______
ドアを叩かれた音にハッとする。