第15章 少女の独白
エルヴィンの包帯を新しく巻いてもらう。
大きな手が優しく
フィンの手を包み込む。
「・・・・・・終わったよ。」
エルヴィンが立ち上がり、
フィンに手を伸ばす。
錠のついている両手首をエルヴィンが持ち上げ
フィンが立ち上がる。
「もう、必要ないだろう。」
ナイルがフィンの手錠を見ながら、呟いた。
「あぁ。」
とエルヴィンが相槌をして
手錠を持ち外した。
手錠の重みがなくなり、
フィンの手が自由になる。
フィンの緊張の糸が切れて
ふらっと膝を揺らした。
フィンの体を
受け止めたのはナイルだった。
「すみません、気が抜けちゃいました・・・。」
フィンはナイルに笑顔を向ける。
ナイルがフィンから顔を背け
鼻に手を当てている。
「そろそろ帰ろう。」
エルヴィンがフィンの腰に手をまわし、
ナイルの体から自分の方へと引き寄せる。
「・・・・はい。
ナイルさん、ありがとうございます・・・。」
フィンはナイルに会釈して
エルヴィンの後ろを着いて行く。
ナイルが難しい顔をしながら後をついてくる。
憲兵団支部から出ようとした時、
空が一気に表情を変えて
辺り一面真っ暗になる。
馬車を待っていると
雷が激しく鳴り響き
滝のように激しい雨が叩きつけた。
「困ったな・・・・。
これでは馬車で帰れない。」
馬たちが雷の音で暴れてしまって、
とても馬車を引っ張れる様子ではない。
「ここに泊まっていけばいい。
部屋ぐらいなら用意できる。」
とナイルが後ろから声をかけてくる。
「そうだな、
ここに泊まらせてもらおう。」
フィンの肩に手を置きエルヴィンが微笑む。
フィンは不安そうに空を眺めた。