第15章 少女の独白
エルヴィンが周りに見えないように
「フィン・・・・キミはよくやった。」
フィンの瞳から涙が溢れ出す。
エルヴィンがそっとフィンの肩に
兵服のマントをかける。
「・・・・このフィン・フレイバンの
処遇は調査兵団に委ねてもらいたい。」
エルヴィンが立ち上がりながら
ナイルに言い放った。
「・・・・エルヴィン。何故だ。」
ナイルがエルヴィンに鋭い視線を送る。
「フィン・フレイバンは
調査兵団への入団を希望している。
そしてフィンの人を助けたい
という志を私は認めた。
勿論、訓令兵を卒業してからの話だ。」
フィンはエルヴィンをそっと見上げる。
訓令兵のことは初耳です。
思わず口を開き目を丸くした。
その表情をナイルが見て、
「本人も動揺しているようだが・・・・
フィン、エルヴィンの話は事実か。」
「はい。事実です。
訓令兵を卒業できるかの話ですが・・・。
私は調査兵団に入団を希望します。」
とフィンは戸惑いながらも
ナイルに向かい、はっきりと意思を伝える。
憲兵団の兵士が救急箱を持って駆け寄ってきた。
「手当を頼む。」
フィンの包帯を新しく替えようと取り出す。
エルヴィンが兵士から
包帯を受け取ろうと手を伸ばす。
「私が替わろう。」
兵士は戸惑いながらも
エルヴィンに包帯を託した。
「エルヴィン、個人的な私情か。」
「無いと言えば嘘になるだろう。
しかし、フィンの命を
尊重する考えと従順な姿勢が
ナイル、キミにも伝わったはずだ。」
エルヴィンの蒼い目が強く光る。
「・・・・・あぁ。わかった。
上には調査兵団が処罰したと報告しよう。」
とナイルはうなづき話した。
「一つ貸しだ。」
エルヴィンにナイルが手を伸ばす。
「あぁ。今度酒でもおごろう。」
とエルヴィンもナイルと握手を交わした。