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≪進撃の巨人≫ 蒼翼の天使 

第15章 少女の独白




ナイルが机に置いてある書類を読み上げながら
「フィン・フレイバンで間違いないな。」


フィンは顔を俯き、
こくり。とゆっくり頭を縦に振る。

「シャコール・ハイドロフ議員、
地下街の住人を複数殺害
および調査兵団の物資を
窃盗の容疑がかけられている。
これからこの殺害容疑,
および窃盗の尋問を始める。」

ナイルの視線がフィンを睨む。



フィンは静かに首を横に振る。


「・・・なにか言いたいことがあるのか?」
ナイルがフィンに問いかける。


「・・・・私の兄、ノインが・・・・・
私、止めることができなくって・・・・・」
涙が溢れ出す。

ノイン、ごめんなさい。
逢えたら必ず謝らせて・・・。
と思い平然と嘘を並べる。


ナイルは黙って話を聞いている。

エルヴィンも椅子に腰かけ両腕を組み
黙って話を聞いている。

「私が行ったときはもう・・・
家の周りが血だらけで・・・・
男性の叫び声が聞こえて・・・
兄を止める一心で刃を振りかざしました。

ですが私の力及ばず、
私の目の前で
シャコール様は殺されてしまったのです・・・。
兄を止めることのできなかった私も
兄のように重罪です。
もっと早くから兄の行いに気づければ
救えた命がたくさんありました。」

涙を浮かべ、唇を噛みしめる。

ナイルの顔を見上げて
「・・・街で会った、
調査兵団の方に助けを求めました。
しかし、動き出すには時間が必要だと言われて、
武器が欲しくて立体起動装置を兵団から盗みました。
まぎれもない事実です。
私は窃盗罪を犯しました。」


エルヴィンの方に顔を向け
「調査兵団の人たちを信じないで
本当にごめんなさい。」
頭を低く下げるフィン。


「私は自分の罪を認めます。
どうか正当な裁きを下してください。」


フィンは椅子から滑り落ちた。

膝をつき地面に頭をつける。

肩を震わせる。



自分の口からすらすらと
出た嘘に反吐が出る。


誰にも見えない顔を一人で歪ませた。

手をぎゅっと握り潰す。
痛みがはしる。

それでも震える拳を抑えるために
渾身の力で包帯を握りつぶす。




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