第14章 甘い朝はいかが?
コンコンッ_____
リヴァイが形式的にノックをして
エルヴィンの返答を待たずにドアを開ける。
ミケがエルヴィンと何か話していた。
「おはよう。フィン、よく寝れたかな?」
低い声でエルヴィンが見透かすように話す。
「はい。寝れました。」
笑顔で返答する。
それはよかった。とエルヴィンがほほ笑む。
「早速で悪いがあまり時間が無い…………ミケ。」
ミケが冷たく重い手錠をフィンにかける。
ミケがスンッスンッ…………とフィンの匂いを嗅ぐ。
「ミケさんやめてください…………。」
フィンは後ずさる。
「処女は守られたんだな。」
フンと鼻を得意げにならすミケ。
「もう…………朝から本当にやめくださいよ…………。」
恥ずかしそうにフィンは顔を隠す。
「エルヴィン。フィンに同行するのか?」
リヴァイが鋭い眼光で見つめる。
「あぁもちろんだ。」
「そうか。頼んだ。」
リヴァイが即答する。
「着いて来なくていいのか?」
エルヴィンが少し目を丸くする。
「俺が行ったところで、状況が変わるとは思えん。」
「あぁそうだな。」
フィンは二人のやり取りを見てリヴァイとエルヴィン、信頼関係を目の当たりする。
人望に厚い人だと思っていたが、さらにエルヴィンに信頼を寄せる。
自然とそんな風に思ってしまう、エルヴィンの人の上に立つ逸材の雰囲気に魅了される。
「・・・・よろしくお願いします。」
フィンは深々とエルヴィンに頭を下げる。
「勿論だ。」
エルヴィンの蒼い瞳が光る。
自身に満ち溢れた一言に大船に乗ったような錯覚をしてしまう。
気を引き締めないと、とフィンは自分自身には言いきかせる。
「そろそろ時間だ、行こう。」
エルヴィン、リヴァイの間にフィン。
後ろにはハンジ、ミケが連なる。
すれ違う兵士たちからざわざわと騒ぎ出す。
耳を澄ますと、調査兵団の幹部に連れらている手錠をかけられた謎の美女の話題で持ちきりのようだった。
殺人の疑いは一部幹部しか知らされていなかった。
「君は調査兵団に入ってからも大変そうだな。」
とエルヴィンがフィンに微笑む。