第2章 淹れたての紅茶
突然店内に押し込まれたので
バランスを崩しそうになる。
ノインがフィンの腕を強く掴んでドアに押し付ける。
ドアに背中がぴったりとくっついて逃げ場がない。
近づくノインの胸を空いている片手で叩く。
「ノイン痛い!!そんな怒らないでよ!
お客さんなんだよ!?」
ノインの大きな体はびくともしない。
「・・・・・フィンが捕まるかと思って心配した。」
呟き、ノインの頭がフィンの肩にもたれかかった。
深いため息が漏れる。
じんわりとノインの熱い吐息を肩に感じる。
…そういうことだったのか……。
怒っていた理由を理解する。
「・・・心配かけてごめんね。」
とノインの髪をフィンの指先はそっと撫でる。
ほんと、心配性だなあと頭をぽんぽん叩くけど、
ノインの体は一向にフィンの細い体から離れようとしない。
「あのね、いい人たちだったから心配しないで。」
とフィンは声をかける。
「でもね、今夜また逢っちゃうかも」
ノインの頭が、勢いよくフィンの肩から離れた。
金色の瞳は動揺し大きく見開いている。
ハンジから聞いた話をノインにも教えた。
ノインは頭を抱えてただ黙ってこくこくと頷くだけだった。
フィンに香水のような小瓶が手渡された。
「調査兵団が関わるならきっと、エルヴィン・スミスが今夜来るかもしれない。
もし、奴に遭遇したら必ずコレを使って逃げろ。」
「なにが入ってるの…?」
小瓶を見ながら尋ねるとノインは一瞬険しい顔をした。
「花から作った眠り薬」
だと言う。
「そっか、花からなら安心だね。」
と言って小瓶をスカートのポケットにしまった。
ノインはまだ店居座ろうとしていたけど、
無理やり酒屋のほうに連れていき仕事に戻らせた。