第11章 二人からのお誘い
フィンは
エルドの酔いつぶれた後に
部屋を抜け出し、
立体起動装置を見つけて
地下街に乗り込んだこと。
黒い服を着た謎の集団、
自分の両親の命を奪った男の話。
その男を殺そうと暴れたこと。
一緒に消えた唯一の証人だった、
兄ノインの話、
自分が目覚めた時には
シャコールはすでに殺されていた話をする。
「ずいぶん都合のいい話だな。」
リヴァイが指先でティーカップを持ち
紅茶を揺らして話す。
「・・・・・まだ信用できねぇのか。」
リヴァイの核心をついた言葉に
フィンは口元に手を当てる。
「その謎の集団は俺を撃った奴らだろう。
だがなぜ、お前は殺されなかった。
殺しを専門にしている連中が、
殺しの現場を見た証人を
わざわざ何のために生かす。
いくら兄貴が頼んだとしても
危険な芽は摘むだろう。」
リヴァイがフィンにしかめっ面を向ける。
「それにお前おかしいだろう。
肩が外れて傷口が開いてるのに
暴れまわるなんて。
大の男でもピーピー喚くぞ。
素人の女にできる芸当じゃねぇ。」
フィンはため息を吐く。
ゆっくりと口を開いた。
「・・・・・突然、
ふっと時間が流れるのが遅くなって
全身から力が溢れ出して、
どう体を動かせばいいのかわかる・・・
みたいな感覚に支配されるんです。」
フィンは顔を俯く。
リヴァイの三白眼が大きく見開く。
「・・・・・・・お前もか。」
「リヴァイさんにも・・・・?」
とフィンはリヴァイを見上げ目を丸くする。
「ある時・・・ある瞬間に
突然バカみてぇに力が湧き出る。
その瞬間がお前にもあったか。」
「・・・・・火事の日・・・
母に逃がされたとき、全身に力が漲って
がれきに塞がれた扉を
突き破って逃げたんです・・・。」
フィンは背中の古傷を擦った。