第2章 淹れたての紅茶
ハンジは意気揚々と義賊について話してくれた。
ハンジの話だと憲兵団だけでは何度も義賊を取り逃がしてしまって貴族たちのご所望で調査兵団にお呼びがかかったらしい。
「しかも立体起動の腕前が、憲兵団をはるかに凌駕する。
ぜひ見てみたい!!」
と滾りながら話すハンジ。
ハンジの熱量が凄まじくて、反応に戸惑ってしまう。
「おい。べらべらと喋りすぎだ。
クソメガネ。」
と冷たい口調で話すリヴァイ。
リヴァイの手にはいつのまにか選んだ、
紅茶の袋を両手に抱えていた。
選んだというよりほぼ全種類、かなりの量を買ってくれようとしている。
お得意さんでもこんなにたくさんの種類を買う人は滅多にいない。
リヴァイが自分の紅茶を認めてくれた、
そんな気になってしまう。
大きめの茶色の紙袋に包んで
「ありがとうございます。」
とリヴァイに手渡す。
嬉しくてフィンはリヴァイに笑顔で
「また、来てくださいね。」
と声をかける。
リヴァイの目線がぱっと外されてしまった。
返事はないので調査兵団の本部は遠いから難しいのかな遠くそしてフィンは肩を落とした。
その様子を見逃さなかったハンジが
「あれぇ~?リヴァイ~照れてるの~?」
とまた嬉しそうに茶々を入れる。
仲がよさそうな二人をみて微笑みながら
「よかったらどうぞ。」
と白い二の小さな琥珀色の瓶をリヴァイに手渡す。
「ハーブと食用のお花をいれた蜂蜜です。
紅茶用に作ってあります。
よかったら試してくださいね。」
と小さめのビンを入れた紙袋渡す。
砂糖は高級品なので、庶民の間では
蜂蜜が甘味料として一般で流通している。
珍しいものではないが
紅茶用の蜂蜜はなかなかお目にかかれない。
少しだけ機嫌がよさそうなリヴァイが
「・・・・ありがとう。」
艶のある黒い前髪の間から三白眼はフィンをのぞき込む。
リヴァイの不器用な笑ったような顔をみて
一気に心臓が爆発しそうになる。
顔に熱が集中する。
きっと今、自分の顔赤面しているだろう。
フィンは顔をふさぎながら足早に店先に向かう。
風に当たりたくておもむろに勢いよくドアを開けた。
カランカラン_____
ベルが鳴り響く。
ドアを開けると心地よい風と不機嫌な態度で腕組しながら立つノインが目に入る。