第11章 二人からのお誘い
辺りを見渡すと燃えている。
"あの夢"だとすぐにわかった。
ノインの去っていく後ろ姿が見える。
いつもと違うと思い、
フィンは炎を避けながら
ノインの後を追う。
「フィン。」
声のする方を見ると
ファーランが呼んでいる。
フィンはどちらに行けばいいか、
わからずに立ち尽くす。
そっと誰かが、
フィンの体を優しく包み込む。
燃えていた家だった背景が
月明かりの空に変わった。
優しく体を包んでいたぬくもりが
離れていくのを感じる。
離れたくなくて手を伸ばす。
「いかないでッ!!」
体が起き上がる。
目が覚めて辺りを見渡す。
冷たい感触のする自分の手を見て、
目を疑った。
冷たくて重い鎖が
手首に雁字搦めに巻かれている。
自分がいま、牢獄に幽閉されている。
理解して、フィンは唾を飲んだ。
「なに……これ……。」