第10章 強奪する男
「・・・・オイオイ。
ずいぶん生意気な口聞くじゃねぇか。
どうやら自分の置かれている立場ってものがわかってねぇみてぇだな。」
フィンの顔を更に床に力強く押し付ける。
フィンは力いっぱいに身をよじって暴れる。
「くッ‥…殺してやるッ‥‥離せ!!」
「やめろッ・・・・
フィンに手を出すな・・・。」
ノインは擦れた声を振り絞る。
「‥‥お前たちの‥…仲間になる…
頼む‥‥フィンには手を出さないでくれ‥‥」
ノインは懇願する。
ノインの言葉にフィンは冷静さを取り戻していく。
全身の血の気が引いていく。
「・・・・え・・なに・・・?」
フィンが声を震わせる。
ノインは何を言ってるの?
コイツは私の両親を殺したのに‥‥
ノインの発言の真意がわからず心臓がバクつく。
「おぉ、そりゃーよかった。
おめぇは殺すのに惜しい。
趣味の薬づくりは大事だからなぁ。」
しゃがれた声の男が不気味ににやりと笑う。
「だからフィンには手を出すな‥‥」
ノインが口の中の血を吐き捨てて話す。
「コイツはどうも俺と殺りたいみたいだがな。」
わざとらしくフィンの乳房の形が分かるように巻かれたロープを締め上げる。
「‥…ッぅ‥‥」
フィンがロープの食い込みに小さく鳴いた。
フッと鼻で笑い
「しおらしい声もだせるじゃねぇか。」
男がフィンの弾力のある乳房のロープを形が分かるようにさらに食い込ませる。
「・・・・くっ。触るなっ。」
フィンは舌から男を睨み付ける。
「人にものを頼むときは『お願いします』だろう?
親に教わらなかったのか?」
とあざ笑う。
フィンの体中の血液が一気に加速する。
体の奥底から噴き出る怒りが力を漲らせる。
全身が引きぎられそうな痛みを感じながら
ロープがブチリ。と鈍い音で切れた。
フィンの上で男が体重をかけ制圧しようとする。
左肩に関節技をかけるが、フィンは自我を失い痛みをもろともせずに動き続ける。
ボキリッ。
鈍い音が部屋に響き渡る。
銃弾の傷が開きフィンのシャツに血が滲み始める。