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≪進撃の巨人≫ 蒼翼の天使 

第10章 強奪する男



体は冷たくザラザラとしている世界にいる。
下水と腐ったような木の匂いで現実へと引き戻される。


体は縛られて胸の周り、腕と手首に嫌な締め付けを感じる。ロープで縛られて自由を奪われている。

かび臭い床にフィンは倒れこんでいる。

意識のはっきりとしていない重い頭をあげて、薄暗い部屋を見渡す。


目にうつったのは血だらけの姿で椅子に座らされてに縛りつけられている、男性の姿。

「・・・・ノインッ。」
フィンは身をよじりながら変わり果てた姿のノインに近づく。

「・・・・ッ。
フィン・・・・?」
ノインの顔を見上げると目に血が滴ってか細く目を開いてこちらを見ている。

「ノイン‥‥よかった…生きてた‥‥
今まで知らなくて、ごめんね…。」
フィンは涙を浮かべ話す。


「なんで来たんだ!!」
ノインの怒りに満ちた大きな声で荒げる。


ガチャン____
扉の開閉音が聞こえた。

「よぉ。起きたか。」
としゃがれた男性の声がする。
コツコツと革靴のような音が鳴り響き近づく。

「薄汚ぇネズミが一匹増えたんだってなぁ」
と男がフィンの髪の毛をつかみ上げる。
「‥‥ッ。」
不気味な黒いスーツを着た男がフィンの目に移りこんだ。

フィンの目は血走り息が荒くなっていく。
男を睨み付けながら血が出るほど唇を噛み、全身の力を込めてロープをひちぎろうと身をよじる。

ロープがギリギリと乾いた音を響かせた。

男が笑いながら
「オイオイ、オイオイ。
なにそんな怒」
「・・・・お前ッ・・・
・・・・殺してやるッ。」
とフィンは血走った目で男に向かって話す。

「はぁ?」
なんのことだ?と男は
顔をしかめた。


「・・・12年前に殺しただろう!!
男の喉を裂いて、女、子供がいる家に火を放ち。
アッカーマンの一家を!!!!」
怒り交じりにフィンは叫んだ。

「・・・・・・お前。あの時のガキか。」
不気味にやせ細っている男が嗤った。


「・・・・今すぐッ。殺すッ・・・。」
ガンッ!!
フィンの頭を冷たい床に殴りつける。
木の床はきしみ、埃を舞い上げた。
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