第1章 カノジョのくるま
ー実弥sideー
朝からギャァギャァ騒ぎやがった我妻を職員室から追い出して戻ってくると、今度はニヤニヤした宇髄に捕まった。
「不死川〜。女の車で出勤しやがんのぉ。」
「あいつ今日出張だから駅まで送っただけだァ。もったいねぇだろ駅の駐車場に一晩なんてよォ。」
宇髄のやつ何してくるかわからねェ…。後であらぬ噂を立てられるのは御免だと説明する。
「おっ、じゃぁ寂しい夜を過ごす不死川のために今夜は不死川の家で飲みなぁ〜!煉獄、お前もいくよな?」
「うむ!」
「ア゛ァ?勝手に決めんじゃねェ!!」
「強がっちゃってぇ〜。んで、帰りに一緒にアノ車に乗せてってくれよ〜。」
やれやれ、優しいんだか、ただ飲みたいだけなのか、騒がしい同僚たちだ。だが、鈴の車に野郎どもを乗せるのは御免だと、
「却下ァ。近ぇんだから帰ってからテメェら歩いてこいやァ。」
と言い返す。
「ったよ。じゃぁ煉獄、駅集合な!」
「うむ!楽しみだ!!!」
と嬉しそうな同僚に続いて授業に向かえば、この日の授業は散々で…。
我妻のやつがどんだけ騒ぎやがったか知らねぇが、教室に入るなり俺にバレないように残念そうな顔をする奴。
バレてるけどなァ。
可愛い新人の教師の事を聞いてくる奴。
これは他の教師もまぁまぁ聞かれたらしく、事情を知らない同僚たちは何のことだと思ったらしい。
極め付けには、我妻のように俺の車が違ったと言ってくる奴。
お前らストーカーかァ?と思いつつ、
「車検だァ、車検。」
と咄嗟に誤魔化した。
そしてこの日の不死川クラスの課題は、いつもより多かった。