第4章 ダイスでは決まらない勝敗
私の首元に顔を埋めて、大きく息を吐いた帝統さんが体を起こして座る。
「お前は、眩しいくらい魅力的だよ」
向かい合うように座った私の髪を、帝統さんが指を絡めて遊ぶ。
「分かったよ、降参だ。その代わり、怖くなったり嫌になったらすぐ言え。出来るだけ止める努力はする」
意見が纏まったところで、私はシャワーを浴びる事にした。
せっかくの触れ合える場面で、汚い体ではダメだ。
残業続きで疲れ切っていた体に、温かいお湯が染み渡るようだ。
シャワーを終えて、バスタオルを巻いただけの状態で、部屋を覗き込む。
帝統さんが部屋の外から現れる。
「何処か行ってたんですか?」
「あー、まぁ、ちょっとな」
何処かのお店にでも行っていたのか、小さな袋を持っている。
何かを買ったのか、小さな箱のような物を取り出して、ベッドサイドへ置いた。
「つか、お前なんちゅー格好してんだ」
「へ? あ、えと、こういう時は、どんな格好が正解なのかが分からなくて」
「ま、脱がせる手間はハブけるんなら、いいか」
近寄ってきた帝統さんが、私の腰に手を回して引き寄せる。
下半身が引っ付くような体勢で、もう片方の手で頬を撫でた。
「さて、ゆっくりやるから、なんかあったらすぐ言えよ、いいな?」
「はい……よろしくお願いします」
ベッドへ、改めて並んで座らされ、上半身だけ捻って見つめ合う。
「何か……改めてってのが、すげぇ緊張してきたわ……」
「私は、ワクワクというか……興奮してます」
その言葉がスイッチかのように、二人の距離が近づいていく。
唇が、触れ合った。
今までと違うのは、唇が触れ合うだけじゃなく、何度も啄まれ、唇を甘噛みされる。
「口、開けて」
言われるがまま、少し口を開けたところで、帝統さんの唇がまた触れたかと思うと、口内に舌が差し込まれ、あっという間に舌を絡め取られた。
「はぁ、ぅんンっ、ふ、ぁ……」
二人の舌が絡み、唇が触れ合う音が耳を犯し、体が熱くなる。
凄く、気持ちよくて、帝統さんの首に腕を回して、唇に食らいついた。
「んっ、はっ、ふっ……熱烈だな」
「だって、気持ち……んっ」
「そりゃ、気に入っていただけて、よかったよ」
そう言った帝統さんに押し倒される。