第4章 初めまして、後藤です
ここ、風柱邸…だよな?
俺間違えてないよな?
あれ、こんな子いたか?
え、ちょっと待って、つぅか…
だれー?
「えぇと…、どちら様ですか?」
それ、そのままそっくりお返ししたい。
でも訪ねて来てんの、俺なんだよなぁ。
喉まで出かかった台詞を飲み込み、聞かれたので自己紹介をした。
「俺は鬼殺隊隠の後藤という者です」
「後藤さんですね。私は水篠葉月といいます。よろしくお願いします」
水篠さんはぺこりと頭を下げた。
律儀な子だなぁ。
「かくし…。あ、前に聞いたことがあります!頭から頭巾を被っていて全身黒ずくめだって。ほんとに真っ黒なんですねぇ!」
「えぇ、真っ黒ですよ」
そして、可愛いなこの子。
にこにこと話をする姿が無邪気で、なんだか聞かれたこと全部答えてあげたくなってくる。
「あ、ごめんなさい。後藤さん、何かご用だったんですよね?」
…あぶねー。
目の前のこの子に心奪われかけて、何しに来たのか忘れるとこだった。
「不死川様への文を預かっていまして」
「そうなんですね。実弥さんさっき起きたところで、今着替えてますのでちょっとお待ち下さいね」
やっぱり寝てたのか。
もう刻まれる確定だな俺。
ところで、今実弥さんとか言ってなかったか?
不死川様を、下の名前で呼んでいる…。
何者なんだろうなこの子。
お手伝いさん…にしては若過ぎるか。
すごく親しい感じがするし…
え、じゃあやっぱり…そういうこと?
俺の中でほぼ結論が出た丁度その時…
「悪ィな葉月。代わりに行かせちまって」
身支度を整えた不死川様が登場した。
「いいえ、大丈夫ですよ。実弥さん、後藤さんて方がいらっしゃってます」
「あぁ、お前かァ」
俺が来てると聞くと、カッと見開いた目をこちらへと向けた不死川様。
相変わらず目力がすげぇ…。
刻まれる前に目だけで殺されそうな勢いだ。
寝起きでやっぱ機嫌悪いんじゃねぇの?
さっさと用事を澄ませてここは早々に立ち去った方が良さそうだ。