第3章 おそろい*
「寝てるのかと思いました…」
「目ぇ閉じて秒でなんか寝れっかァ。ガキかよ」
それもそうか。
「で?お前、寝れねェんだろ?」
バレてた…。
なんで分かったんだろ。
じゃあ隠す必要も無いかと思って、
「目が冴えちゃって…へへ」
正直にそう言ってみると、実弥さんは少し可笑しそうにフッと笑った。
「しょうがねぇなァ」
「へ?」
何がしょうがないのだろう?
不思議に思っていると、突然上半身を起こした実弥さん。
水でも飲みに行くのかな。
そう思いながら実弥さんを見ていたら、布団をめくりそこから出ると、
「もうちょいそっち寄れェ」
「はい…?」
何を思ったか、そのまま実弥さんはなんの躊躇いもなく私の布団へと入って来た。
「さ、実弥さん!これは…一体なんでしょう⁈」
「何ってあれだァ。添い寝」
…添い寝⁈
「眠れねェなら一緒に寝てやらァ」
そう言って実弥さんはぎゅうっと私を抱きしめた。
どうしよう…
心臓が、いつも以上にうるさく高鳴り止まらない。
こんなに密着していたら、私の胸の音が実弥さんに聞こえてしまいそう…
これは、大変だ…
「実弥さん、これ…」
「アァ?」
「逆に目が冴えちゃいそうです…」
「…嫌か?」
私の訴えを聞いた実弥さんは私から少しだけ、そっと身体を離した。
身体が離れた瞬間、それまであった温もりが消えてしまう。
それが少し寂しくて、目の前の実弥さんの顔を見上げると、そこには心なしか不安そうに私を見つめる実弥さんがいた。
あぁ、実弥さんもこんな表情をするんだ…
そう思ったのと同時に、実弥さんにこんな顔をさせてしまったことがとても切なくなって、縋るように、その胸に顔をうずめた。
「嫌じゃない、から…離れちゃ、だめ、です…」
恥ずかしくて消え入りそうな私の声を拾った実弥さんは、もう一度ぎゅっと抱きしめよしよしと髪を撫でてくれた。
「離れねェから安心しろォ」