第3章 おそろい*
お風呂から戻って来た私と入れ違いで、今度は実弥さんがお風呂へと向かった。
布団はもう二組敷いてあったので、実弥さんが戻ってくるまで取り敢えずそこに座って待つことに。
掛け布団の上なんて、ちょっと行儀が悪いかな。
気にし過ぎ?
…。
待つ間だけなら…と思うことにし、綺麗に敷かれた布団の上に、お行儀良く正座で座ってみた。
わぁ、ふっかふかだ!
うちのぺったんこな布団とは大違い。
これはよく眠れそうだ。
それに、なんとなくだけれどこのお布団お日様の匂いがする。
昨日干してたのかな。
忙しそうだったのに。
そういえば、借りたこの浴衣も袖を通した時とてもパリッとしていた。
しっかり糊付けしてから干したのか、それとも新しい物を用意したのか。
寝る時だけの寝間着なのに。
どちらにしても、実弥さんはやっぱり気の回る凄い人だ。
そんなことを考えながら待っていると、お風呂から実弥さんが戻って来た。
「おかえりなさい」
「おぉ」
「寝間着、貸して頂いてありがとうございます。あの、これって…」
「心配すんな。まだ誰も着てねェ」
「…買ってくれた、んですか?」
「アァ、買った」
「……ぇえ!」
着心地からしてそんな気はしていたけれども。
まさか、本当に買って準備してくれてたなんて。
寝間着は使い古した浴衣とか襦袢でいいと思っていた私。
持ってこなくていいって言ってたから、てっきりそういうものがあるのかと思っていた。
びっくりで、思わず大きな声を出してしまった。