第3章 おそろい*
実弥さんは終始『美味い』と言って私の作ったご飯を食べてくれた。
良かった。
頑張って作った甲斐があったな。
食べながら、小豆を使った料理が好きだということも教えてくれた。
おはぎ好きだもんね。
小豆料理って何があるかな。
おしることか、ぜんざい?
…おやつっぽいな。
お赤飯…は、おめでたい時だよね。
…。
いとこ煮しか思い付かない。
やっぱり今度妙さんに聞いてみよ。
そんなことを考えながら食後の洗い物をしていると、お風呂を沸かしに行っていた実弥さんが戻ってきた。
「悪ィな、洗いモンさせちまって」
「いえいえ、あと拭いて戻すだけなので」
「俺もやる。そこの布巾貸せェ」
実弥さんに布巾を渡して洗ったお皿を一緒に拭くことに。
…なんでだろう。
お皿拭いてるだけなのに。
実弥さんとだからかな。
なんか、楽しい。
「…ふふ」
あ、つい…。
不敵に笑ってしまった。
「…お前、どーしたァ?」
なァに笑ってやがると、おかしなものでも見たかのように訝しげな顔で覗き込まれる。
「あ…、なんか、楽しくて…」
素直にそう言ってみれば、
「…そーかよォ」
フッと笑って、私の大好きな大きな手で頭をポンと撫でてくれた。
やっぱり私、これだけで幸せだ。