第3章 おそろい*
屍のように寝転がった三人組の脇を通り越し、宇髄に帰る旨を伝える。
『もう行くからよ。早く手当てしてやれェ』
『おぅ、今日は助かったわ。また煉獄に頼まれたら呼んでやっから』
『呼んでくれるなァ‼︎』
やっと解放されたはいいが…
『遅いですよ不死川さん。全く、来るならきちんと予定通り来ていただけますか?』
本日最後の目的地、蝶屋敷へと足を運べば、胡蝶は大変お怒りの様子。
笑顔が怖ェ…。
まぁ、胡蝶が怒るのも無理はねェか。
前日俺が鴉を飛ばして伝えておいた時間を、優に二時間超えちまってたからなァ。
『私だって暇じゃないんですからね』とチクチク文句を言いながら、俺が頼んでおいた薬やら包帯諸々が入った薬箱を俺に手渡す。
文句は宇髄に言ってくれェ。
アイツが予定に無ェこと言わなきゃこんなに遅くはならなかったんだからよォ。
心の中ではそう思ってはいるが、胡蝶に言えばきっと三倍返しで文句がかえってくるだけだ。
仕方ねェ。
ここは大人しく謝っとくか。
『悪かったなァ』
『心が込もっていませんねぇ』
『テメッ…どうして欲しいんだァ!』
『そうですねぇ。では、葉月さんと言う方のお店の甘味、今度お土産で持ってきてくだされば許します。あそこの甘味は絶品だと、お持ち帰りも出来ると聞きましたので』
『はァ⁈…なんでテメェが葉月の名前知ってやがる!』
『甘露寺さんに聞きました。あ、そうそう、今日は葉月さんの初めてのお泊まりなのですよね。でしたら早く帰って差し上げないと』
甘露寺の奴口軽過ぎだろォ!
『ふふふー』なんて胡蝶は可笑しそうに笑ってやがる。
クソッ!
恥ずかしいったらありゃしねェ!