第3章 おそろい*
随分前に、すっかり姿を隠してしまった太陽。
入れ替わるように現れた月は、東の夜空で煌々と輝いている。
思った通り、いや、思ったよりもっと遅くなっちまった。
宇髄の奴、俺をこき使いやがって。
お館様に、昨夜の任務の報告後、宇髄のところで明日の晩からの合同任務の打ち合わせ、最後に蝶屋敷に寄り、切らしちまった手当に使う薬を貰って帰る。
今日の予定はそれだけ。
これなら夕方陽が沈む前には帰れたはずだ。
それなのに、宇髄の所へ行ってみれば…
ー音屋敷にてー
『合同任務の打ち合わせ終わったら、煉獄んとこの継子三人しごくから手伝え』
…んだとォ⁈
開口一番にそう言われ、短気な俺は苛々し始める。
『付き合ってられっかァ。俺は暇じゃねェ。任務の確認が終わったら帰んぞォ』
『待て待て待てぇ!煉獄に頼まれてんだよ!今日はみっちり稽古付けてくれって!』
『知るかァ!大体煉獄はどうしたァ!アイツの継子なら自分でやらせろォ!』
『遠方の任務で数日戻れないんだと。いいじゃねぇか、一般隊士育てんのも柱の仕事だろ?それになぁ、コイツら最近強くなって来たぜ?』
“コイツら“と、宇髄は自分の背後にいる三人を自慢げに指差した。
そこにいたのは…
今にも気絶しそうな青い顔した金髪
上半身裸イノシシ
そして…
鬼を入れた木箱を背負ったいけ好かねェクソガキ。
あの頭突きは忘れねェ。
思い出すだけでも腹が立つ。