第3章 おそろい*
とあるお店の前まで来た私達。
「葉月ちゃん、ここで待っててね!」
「…うん…?」
…どうして?
私の曖昧な返事を気にする事なく、蜜璃ちゃんは一人で店の中へと入っていってしまった。
一人ぽつんと残された私。
何を買いに行ったんだろう。
すごぉく気になるけれど、待ってろと言われたのなら、待つしかないよね。
またさっきみたいに迷ってないかなと心配しつつ、大人しく言われた通り、私はお店の前で蜜璃ちゃんを待つことにした。
ー数十分後…
「お待たせ葉月ちゃん!」
お店から戻ってきた蜜璃ちゃんは、両手より少し大きめの木箱を風呂敷に包んで手にぶら下げていた。
「おかえり蜜璃ちゃん。何買ってきたの?」
「あのね…。
はい、葉月ちゃん!あげるわ!不死川さんとお揃いのものよ!」
「…ぇええ!!」
私はすこぶる焦った。
だって、それは本当なら私が買わなくちゃいけないものだったのに、蜜璃ちゃんに買わせたみたいになってしまったから。
「そんな、もらえないよ!」
「どうして?」
「だって、お揃いの物が欲しいって私のわがままだし…」
「葉月ちゃん、そんなの気にしないで!私があげたいんだもの、いいのよ?」
それでも受け取ることを躊躇う私に困り顔の蜜璃ちゃん。
あぁぁ、そんな顔をさせちゃってごめんね…
もの凄く申し訳なくなってしまってオロオロとしていると、
「そうだわ!」
蜜璃ちゃんが突然大きな声を出した。
何か閃いたみたい。
「これは、二人が“恋仲になったお祝い“っていうのはどうかしら。それなら受け取ってくれる?」
「お祝い?」
「うん!私から二人に贈り物よ!」
そっか、それなら受け取れそう。
「ありがとう!」
蜜璃ちゃんからの贈り物、温かい気持ちで受け取れた。
それじゃあ、私も…。
「蜜璃ちゃんと伊黒さんが恋仲になったら、私もお祝いするね!」
私がそう言うと、蜜璃ちゃんはぽっとほっぺたを桃色に染めて、満面の笑みを浮かべた。