第3章 おそろい*
普段使えるものにしようと一緒に髪紐を選ぶことにした。
どれにしようかなぁと色々見ていると、気に入ったものがあったのか、それを手に取りじっと見つめる蜜璃ちゃん。
すると、
「これ、私みたいな色ね!」
見てみると、桃色、若草色、白が使われた組紐。
ほんとだ、蜜璃ちゃんだ。
更によく見てみると、三色綺麗に縦の縞模様になっている。
これには思わず、
「伊黒さんの羽織と同じ縞模様だね」
言ってしまった。
すると蜜璃ちゃん、顔をぱぁっと輝かせて…
「私これにするわぁ!」
大事そうに組紐を両手できゅっと握って、嬉しそうに頬をほんのり桃色に染めた。
ほんとに好きなんだねぇ、伊黒さんのこと。
可愛い蜜璃ちゃん。
「葉月ちゃんは決まった?」
「うん、私はこれにしようかなって」
実は一目惚れしてしまったこの組紐。
桜色と白の二色で編まれていてとっても綺麗。
「まぁ、とっても綺麗ね!葉月ちゃんの好きな色?」
「うん、桜色好きなの」
「そうなのねっ」
「あと、白も好き。…実弥さんの髪の色みたいだから」
聞かれてもいないのにそんなことまでぽろっと言ってしまう私。
あぁ私、とうとうおかしくなってしまったかな。
実弥さんが好き過ぎて。
段々と恥ずかしくなり顔がぽっと赤くなる。
「葉月ちゃん!かわいいわぁ!」
そんな私を蜜璃ちゃんがぎゅーっと抱きしめた。
ちょっと、力が強いかなぁ…
お会計を済ませると「つけてみたいわ!」と蜜璃ちゃんが言うので、店のおばちゃんの目の前で堂々と蜜璃ちゃんの髪につけてあげることに。
蜜璃ちゃんの三つ編みの毛先で揺れる蝶々結びの組紐。
いつも可愛い蜜璃ちゃんだけれど、今日はもっと可憐で素敵。
「葉月ちゃんもつけてあげるわ!」と私の後ろに回り、髪の上半分を纏めてきゅっと結んでくれた。
「どうかなぁ?」
「とっても可愛いわぁ!似合ってる!」
後ろだから自分では見えないけれど、蜜璃ちゃんがそう言うのなら…似合ってるのかな?
「おやおや、別嬪さんだねぇ」
ずっと見ていたお店のおばちゃんは、私達を見てにこにこと微笑んでいた。