第3章 おそろい*
「鍵!」
これだぁ!と私が興奮気味に声を弾ませると、
「正解」
温かな微笑みと共に、ご褒美だとでも言わんばかりの優しい口付けが降ってきた。
もうこれだけで、私は幸せだ。
ゆっくりと唇が離れると、重ねられていた手もそっと開くように外される。
私の手のひらに乗せられていたのは、正真正銘“鍵“だった。
……どこの?
「実弥さん、これって…?」
「鍵、俺ン家の」
「へぇ……へぇ⁈」
なんとも間抜けなへぇを二回も言ってしまった。
「なんだよ、いらねぇかァ?」
「いります!」
……じゃなくてっ!
「そんな大事な物簡単にホイホイあげちゃダメですよ!」
「ホイホイやってたまるかァ!そうじゃねェ、今日帰りの時間が分からねェんだよ。俺の方が後んなったらお前外で待ちぼうけだぞ?」
「それは…イヤです」
「俺だってお前外で待たせんのなんか嫌なんだよ。だからよォ、コレやるから先中入って待っててくれ。いいかァ?」
そういうことならと、私はコクンと頷いた。
いい子だァと、実弥さんは私の頭をポンと撫でる。
なんだか子どもみたいだけれど、でもいいの。
実弥さんの大きな手でこうされるの、好きだから。